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理念が浸透しない、三つの理由

執筆者の写真: 松原朋子
松原朋子
9月20日
読了時間: 3分

更新日:9月20日



会議室の様子

 

理念は存在する。ことばにもなっている。額に入れて掲げてもいる。

それなのに、誰も使っていない。

こうしたご相談をいただくことがあります。浸透しない状況は、多くの場合、浸透するための設計がないために起こっています。


 

理念が浸透しない理由は、おおきく三つあります。


 

一つ目:語れる人が、途中で途切れている


ある会社では、経営陣から幹部候補までは、理念の説明がきちんと届いていました。理解もされていました。

ところが、その先で止まっていたのです。

幹部候補の方々が、現場で他の人に語る段になると、ことばが出てこない。理解しているのに、語ることができなかったのです。

理解していることと、自分のことばで他者に語れることは、別のことです。

説明を受けただけの人は、受けた説明を繰り返すことしかできません。相手の状況に合わせて言い直すには、一度自分の中で噛み砕く必要があります。その機会がないまま、伝えることだけが期待されています。

結果として、理念は日々の業務の中で話題にのぼらなくなります。誰も口にしないものは、無いのと同じです。

そこで行ったのは、幹部候補層に向けたワークショップでした。説明する場ではなく、理解を深め、自分のことばにしていく場です。あわせて、それぞれが関わる会議体の中で、理念を話題にしてもらうようお願いしました。


 

二つ目:日常の中に、仕掛けがない

浸透は、意識の問題ではなく、設計の問題です。

理念を思い出す機会が日常になければ、人は忘れます。意識が低いからではありません。目の前の業務が優先されるからです。

同じ会社では、社員同士が対話し、その内容を新しい理念で意味づけてコラムにする、というプロジェクトを立ち上げました。

自分たちの仕事が理念とどうつながっているかを、自分たちのことばで書くことで、読む側にとっては、同僚の実例として理念が立ち上がります。

配られた理念のことばは、他人のことばととらえられがちです。しかし同僚の仕事を通して語られた理念は、自分のことばに近づきます。

 


三つ目:続ける役が、社内にいない

ものの見方は、放っておくと元に戻ります。だから浸透には継続が要ります。

ただし、ここに現実的な問題があります。社内に、それだけをやる人を置けない。皆が忙しく、理念浸透は緊急の業務ではないからです。緊急でないものは、常に後回しになります。

一度の研修で終わり、一年後にまた同じ研修をする。その間、理念は動いていない。多くの会社で起きているのは、この形です。

では、どうするか。

私たちは、社内で浸透を担える人を見つけ、育てることを目指しています。外部が入り続けるのではなく、自社で回せる状態をつくるためです。理念は本来、その会社のものだからです。

ただし、正直に書いておきます。これには時間がかかりますし、育成が進んでも、なかなか手が離れません。

理由は先ほどと同じです。担える人が育っても、その人には他の仕事があります。理念浸透は、締め切りのある業務に押されて後回しになります。役割が決まっていることと、実行されることは別なのです。

だから私たちは、続くまで関わります。タイミングを設計し、遅れずに実行します。その役を、社内で担えるようになるまで引き受けます。

 

浸透とは、状態のことである

理念が浸透しないのは、ことばが悪いからでも、社員の意識が低いからでもありません。

語れる人が途中で途切れ、日常に仕掛けがなく、続ける役がいないからです。

これら三つとも、設計すれば解ける問題です。

そして浸透とは、施策を打ち終えた状態ではなく、対話が続いている状態のことです。続いているかぎり、理念は育ちます。



 

フィロソフィ・コミュニケーションは、企業のフィロソフィをことばにする会社です。




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